日本では各地で趣向を凝らした観光列車が走っているが、ついに新幹線もその仲間入りを果たしました。その名も山形新幹線「とれいゆ つばさ」。7月19日にめでたくデビューを迎えた史上初のリゾート新幹線、いったいどんな列車なのか乗ってきました。
流れる風景を眺めつつ味わう、極楽足湯
「とれいゆ つばさ」は11号~16号車までの6両編成で、福島駅から新庄駅間を、原則として土日祝のみ運行。通常の新幹線指定席料金+乗車券でも乗車できますが、JRのびゅうの旅行商品を利用すると、さまざまな特典が楽しめます。
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最大の呼び物はなんといっても16号車にある「足湯」です。一度に4人利用できる浴槽が2つ。全車両にも共通して使われている、山形の名産「ベニバナ」をイメージした真っ赤なカラーがおしゃれです。
お湯は40度に保たれ、熱からずぬるからずの適温。列車の揺れで湯があふれ出ないようギリギリのところで設定された水位に、開発側の苦労が垣間見えます。車両には湯の循環システムを搭載し、さらに一往復したらすべて排水して湯を入れ替えるシステム。運行にあたっては保健所の検査も受けているとあって、衛生面もばっちりです。
ただし、利用はあくまでオプションで、運行時間の関係で人数制限もあり。JRのびゅうで日帰りまたは宿泊プランを予約した場合は、1人350円追加で確約(時間指定アリ)。通常乗車の場合は、当日の状況次第で利用可能なので、足湯車両にいる「湯守アテンダント」さんに聞いてみてください。(当日利用は380円。オリジナルタオル付き)。
利用時間は1人15分間とさほど長くはないですが、そこが列車の中だと思えばスペシャル感は満点!流れる車窓の風景を眺めながら、しばしの極楽を味わえます。
山形の食材がいっぱい!弁当をチェック
「とれいゆ つばさ」のもうひとつの楽しみはオリジナルメニューの食事。往路は「はらくっちーな」と名づけられたブランチ、復路では「おしょうしなっし」というふるさと御膳がいただけます。
プロデュースは、料理ブログでも有名な幸せ料理研究家“こうちゃん”こと相田幸二さん。山形出身とあって米沢牛やだだちゃ豆、つや姫など、地元食材が満載です。
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※「はらくっちーな」、「おしょうしなっし」はJRのびゅうで宿泊または日帰りプランを予約した場合に食べることができます
赤×黒の和モダン車内を散策♪
座席は12~14号車の指定席「お座敷シート」を利用。ペアとボックスがあり、シートはなんと畳敷きです!
各席には開閉できる大きなカバ材のテーブルが付いており、ここでお弁当を広げたり、おしゃべりをしたりと、通常の新幹線とはまた違ったくつろぎ空間を満喫できます。ちなみに各車両には、さくらんぼやラ・フランスなど、山形の特産のモチーフが隠れているのでぜひ探してみてください。
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最後に「湯・食とくれば、やっぱり酒でしょ!」という人のために、15号車もチェック。ここには沿線の地酒やワイン、おつまみなどを買えるバーカウンターと、広々とした畳敷きの湯上がりラウンジがあります。特に地酒の品ぞろえは充実しているので、ラウンジでゆっくり飲み比べするのもオススメです。
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最後に
「とれいゆ」のネーミングは、英語で列車を意味する「トレイン」とフランス語で太陽を意味する「ソレイユ」を合わせた造語です(てっきり「とれい湯」だと思ったら違いました)。
グリーンを基調にしたスタイリッシュなボディは新幹線のイメージそのままですが、少し速度を落として走る様子は、ゆったりのんびりの観光列車そのもの。山形への旅行がもっと楽しくなりそうな、大人のためのリゾートトレインなのでした。
山形新幹線「とれいゆ つばさ」
東京駅発着「山形の食・飲・足湯」をたっぷり満喫するコース 2万9900円~(びゅう商品)
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内容/往路または復路の福島駅⇔新庄駅間で「とれいゆ つばさ」に乗車。宿泊は神室温泉、瀬見温泉など4ヵ所の温泉地から選択。車内での食事(またはブランチ)、飲みものセット付き。オリジナルタオル付きの足湯利用は1名350円増し br>
※ほかに、「山形の飲・足湯」を楽しむお手軽な宿泊コース、日帰りコースもあり br>
※座席のみ利用の場合は、通常の指定席料金で乗車可 br>
※運行は土日祝のみ
飯村 智奈
旅・宿・グルメ系の取材多数。王道の観光地もいいけど、みんなに見過ごされがちな、なんでもない町のいいところを探して歩くのが好物。地元である湘南・三浦・横浜の情報も発信します。